発声法 シラバス

藤原大輔著

 

科目目標

声優、俳優にとって命である声。発声と滑舌の改善を目的とする。声の源である息をコントロールする「呼吸法」を基本とし、生理的流れに沿ってその流れを変えることなく、表現の為の発声法を習得する。

発声、呼吸における基本的仕組み、横隔膜を使い支えの技術を習得。母音の純化による口の開き方

共鳴。声に圧力、芯を作るために腹式呼吸を身につけ横隔膜を使い息のコントロール、喉締め発声を改善、テキストを使い実践的に習得させる。

訓練を受けていない日本人は喉声になりやすい。日本語は口先だけで発声しやすく咽頭共鳴をあまり使わない言語である。英語は喉の奥を開け響かせる言語であるため多くの声優、俳優志望者は発声に対する理解と訓練が必要となる。

日常生活により付いてしまった癖を矯正するには正しい知識と日頃からのトレーニングが大切になってくる。

 

 

    1.発声の仕組み

 

呼吸と声帯の2つの仕組み、相互関係を知り発声の理解を深める。

 

聞き取りやすく、通る声、喉に負担がかからない声を出せる様になるためにまず発声の仕組みを理解する。腹式呼吸の吸気で横隔膜が下がり陰圧により肺が引っ張られ呼気により横隔膜と肺は元に戻る。これらの呼吸の仕組みを模型を使い解説する。次に吐いた息が声帯の2枚のヒダを通過、振動し咽頭や口腔などに共鳴し声が作られることを解説する。

 

赤ん坊は大きく口を開けると同時に喉の奥も開け全身を共鳴させて小さな身体で一晩中泣き続けられるスタミナと声量を持ち合わせている。

人間の原点である赤ん坊の自然な発声を理解させ

今後それを基本ベースに進めていく。

 

 

 2.声帯に関わる筋肉の仕組み

 

声帯を覆う甲状軟骨とつながりのある輪状軟骨

声門を働かせる披裂軟骨や筋肉と発声について

 

発声において影響を及ぼす、喉を覆う(甲状軟骨)

その下方向にある(輪状軟骨)回転することにより

声門を広げたり閉じたりする役目の(披裂軟骨)

声帯を引っ張り声の高さを作る筋肉(輪状甲状筋)

声帯を縮めて内転させ強さを作る(甲状披裂筋)

披裂軟骨を外転させ声帯を開く(後輪状披裂筋)

これらの仕組みを図解で説明する。

 

高い声を出そうとすると喉閉め発声になりやすいため声帯周りの筋肉のバランス、軟骨のポジションが重要になることを理解させる。

 

 

 

3.腹式呼吸と横隔膜による支え

 

腹式呼吸を確認し、横隔膜による支えを作る、陥りやすい注意点を指摘

 

仰向けになりリラックスして腹式呼吸を確認。

横隔膜の動きに注目する。ドックブレス(犬の息真似)で息を吐き横隔膜と息の連動を確認し鍛える。

 

横隔膜を下げて腹部を押し広げる感覚で、横隔膜が上がらない様にロングブレスで声の元になる息をコントロール、支えを作る。

 

腹部の外側(腹直筋)を固めない様に注意する。腹筋を固めると胸や首と連動し力が入ってしまうことを指摘する。

 

 

 

 

 4.横隔膜の支えを使い喉の開きを維持する

 

横隔膜と喉の開きについて解説 あくびの形で口腔と咽頭の共鳴スペースを確保する

 

横隔膜の支えにより息をコントロールすることが出来れば喉の影響をうけにくくなり、リラックスしやすくなる。

 

横隔膜が下がると同時に肺も下に広がり、気管が下に引っ張られ喉も開きやすくなる、など横隔膜と喉の開きの相互関係を解説。鏡の前に立ちあくびの喉を確認し、軟口蓋が上がり喉仏が下がっている状態を確認する。これにより「共鳴腔」が広く保たれる。

 

              5.発声実技

 

風船を使い呼気に圧力をつけ支える感覚を体得する。風船を離し同じ感覚で発声してみる。

 

発声時声が細い(息を強く吐くことができない)

喉が閉まり力で発声する(横隔膜との連携がうまくとれてない)などを解決するため風船を使ってトレーニングを行う。

 

2人1組のペアになり1人が前傾姿勢(前傾になることで腹部が圧迫され肩や胸に力が入りにくい)もう1人が背中の腹部に手を当てる。風船を使うと吐く息に抵抗がかかるためお腹と背中を使い息を押し出すように吹く。なるべく肩や胸には力を入れないように注意する。

ペアを交代し同じく実践、発声してみる。

 

   6.滑舌と口の開き方

 

日本の多くの養成所で行われている発声法について 発声は全身運動 滑舌における呼吸の重要性

 

日本の多くの劇団や養成所で行われている滑舌練習や発声。(大きく口を開けて口の形をはっきりと

早口言葉など)口先の意識で行われるトレーニングが多いが、それだけでは根本的解決にはならない事を理解させる。

滑舌を良くするためには呼吸により吐く息に圧力と強さそしてコントロールを身につける。それにより無駄な空気が漏れず安定する。喉の奥が開いていない状態で大きく口を開けてはっきりと動かしてしまうと下顎などに力が入ってしまい口腔内の響きもばらつき安定しなくなる。

また大きく開けると次の発音の時間のロスにもつながってしまう。

滑舌を直すために大事なことは呼吸によって吐く息の圧力を身につけることが大切なことを理解させる。

 

 

    7.母音の純化

 

母音の純化により発声の問題を解決していく

母音を使うことにより力まず美しい響きを保ち発声する

 

発声のもう一つの基本である母音の純化。

母音を純粋に力みのない響きで発音する。子音は舌や口など力が入りやすく発音が崩れやすいのでまず母音で発音を純化する。アイウエオの母音を力を入れずゆっくり滑らかに喉にかからず同じ響きを保ちながら発音する。

 

口を横に引っ張ったり不自然に開くと響きのバランスが崩れてしまう。口腔の共鳴空間を広く保ちながら母音の練習を行う。

 

各自発声時の口の開け方の癖を知り自然で素直な動きを意識し練習させる。

 

 

8.台本を使い言葉の内容を語る

 

セリフの内容と意識を繋げるためにジェスチャーを使い仕分ける

 

セリフを喋るが言葉に意識がついてこれずセリフが流れてしまう。気持ちや感情のみでセリフを喋ってしまう。などの問題を改善するためにセリフを発する動機と目的を理解した上に言葉に対して持つイメージをジェスチャーにして仕分けていく。

 

一つ一つの言葉にジェスチャーをつけていくことにより、言葉に対して意識が繋がりセリフが流れにくくなる。

 

     

 

 

 9.声区融合 ミックスボイス

 

声区融合について 声区を分けそれぞれを発声

裏声と表声を鍛える

 

歌唱や発声において頭声発声が弱々しい、低音域て高音域との声の質、地声と裏声の切り替えがうまくいかない、高音が出にくいなど多くある。

 

人間の声はある高さで音の性質が変化し声区の変換が生じる。その箇所を「パッサージョ」「ブレイク」と言う。声区融合によりそのブレイクによる音質の変化を少なくし、芯のある高音域を発声することが出来る。

地声と裏声に分けそれぞれをまず鍛える。そしてそれらを滑らかに発声し融合させる。