演技法 シラバス

 

藤原大輔 著

 

科目目標

近代の世界演劇に大きな影響を与えた「スタニスラフスキーシステム」をはじめアメリカや日本の演劇歴史的背景による流れと方法論の違いを理解し台本を使い演じる。

 

演技の成長は自身の成長にも繋がる。自己分析により自分を知り人間を知ることでコミュニケーションの向上と演技力の向上、表現の楽しさを知り積極的に関わっていく意志を自覚する。

台本を分析し読解力を養い、気持ち優先型の演技に起こる「自意識」からの解放。

スタニスラフスキーシステムとその伝承、日本の演劇改良運動、プロレタリア演劇など歴史と現在への影響、背景を学び自身の目指す表現や演技に対する意志を持ち自信に繋げていく。

 

1.スタニスラフスキーシステム

20世紀の俳優術に大きな影響を与えたスタニスラフスキーシステムについて学ぶ

 

コンスタンチン・スタニスラフスキーはロシアの俳優、演出家。スタニスラフスキーが提唱した演技理論「スタニスラフスキーシステム」はその後の演技人に大きな影響を与えた。スタニスラフスキーはこれまでの芝居がかった、わざとらしい演技に対して心理学的、生理学的に研究し身体と心理が結びつくため実感、想像力、役の課題、目的、感情の記憶、身体的行動など体系的な演技システムを探求した。システムは前期と後期で分かれており1930年代から後期のシステム「行動の理論」に移っていった。のちにアメリカに伝わりニューヨークアクターズスタジオのメソッド演技やマイズナーテクニックなどに発展する。

 

2.ニューヨーク「メソッド演技」

1940年代にニューヨークの演劇で確立した演技法メソッド演技について学ぶ

 

スタニスラフスキーの影響を受けたリー・ストラスバーグによってニューヨークで確立した演技法

役の内面に注目し感情を追体験する「感情の記憶」演じるシーンの中での出来事と似た経験を思い出すことで本物の感情を呼び覚ます演技法を

解説し実践する。

 

リー・ストラスバーグの教え子にはジェームズ・ディーン アルパチーノ ロバート・デニーロなどが挙げられる。

 

 

 

 3.日本の近代演劇について

 

現在の日本の演劇に影響を与えた近代演劇について歴史や知識を学ぶ

 

明治時代西洋の文化が日本にも流入してきたため

演劇改良運動が行われた。初期の改良運動は唯一の現代劇だった歌舞伎を対象に行われていた。

歌舞伎役者である二代目「市川左団次」はヨーロッパへ演劇視察に出発する。帰国後「小山内薫」とともに「自由劇場」をつくりジョンガブリエルボルグマン(台本は森鴎外)を上演した。

自由劇場は日本の新劇運動の中心となった。

 

その後ソビエト政府から歌舞伎の公演を依頼されモスクワで初めて海外公演を行った。その時に左団次はスタニスラフスキーと面談を果たす。

この時の先導役を努めたのが劇団四季創立者「浅利慶太」の父「浅利鶴雄」である。

 

 

   4.フレージング法

 

劇団四季のフレージング法を台本を使い解説し作成する

 

劇団四季の方法論の1つ「フレージング法」を台本を使いフレージングについて理解する。

台本のセリフからイメージや想念の流れを読み取り、その心理が変化する箇所を仕分ける。

仕分けた箇所一つ一つに対しそのイメージを「動詞」で書き込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    5.役作りと分析

 

台本に基づき与えられた役の理解 状況と目的を考え役作りを行う

 

与えられた役の目的とその目的に向かって進むための一貫した行動(貫通行動)を探し出す。

 

役の目的を明確にし、もし自分自身がその状況に置かれたらどうするかを考えてみる。役と自分の共通点をさがす。「もし自分だったら?」

 

台本を読み込みその情報からヒントを得て役の生い立ち、状況、目的などを探し出す。

 

そして実感を持って役者が動きセリフを語れる様に練習する。

 

 

 

 

     6.マイズナーテクニック

         「レペテーション」

 

アメリカ「ネイバーフッドプレイハウス」のサンフォード・マイズナーによるレペテーションを行い「見る」「聞く」「反応する」ことで相手との関わり方を学ぶ 

 

内向的に演じるメソッド演技とは逆に外に意識を向け相手役に対してのコミュニケーションを重視する為のエクササイズ レペテーション(くり返し)を行う。

2人1組のペアになりお互い向かい合い、気がついたことを伝えてくり返す。相手に意識を集中させて観察し、また気がついたことを伝えてくり返すエクササイズによって、相手役に対する意識の向け方や内向的に演じると陥りやすい自意識からの解放を学んでいく。

 

 

 

 7.脚本に基づき「無言エチュード」

 

脚本の場面を区切りセリフを話さず即興で演じる

与えられ場面を無言エチュード 自分の言葉を使い即興で演じる

 

脚本の場面を区切りまず一切のセリフを抜き即興で演じる。それによって非言語的反応だけでその場面を身体化させる。説得力のある身振りはセリフを用いる演技にそのまま適用される。

 

次にその場面を自分の言葉を使って演じさせる。

そして足りない、見落とした箇所をチェックしセリフを覚えて演技を行う。

 

 

 

 

 

 

     8.自己分析

 

自分の日常生活で起こった出来事を思い出し書き出してそれを分析し自分自身を把握する そして他人(役)を演じるヒントを得る

 

自分の日常生活の一部を紙に書き出す。

例えば(学校に行く途中にコンビニに寄った)など

その一つ一つに「なぜ?」と追求してみる。

「なぜ自分は学校にいくのか?」「なぜ自分はコンビニに寄ったのか?」その答えを分析し掘り下げていく。

 

自分自身の意識、目的、動機を再確認し分析、把握することが他人(役)を演じる上で重要になる。